宅建に興味を持って受験を考える人が多いが、「就職できない」「意味がない」と言われることがある。不動産に関する資格!となんとなくのイメージを持っていても、具体的にどんな資格なのか知らない方も多い。
宅建は取得することで有利に働くこともあるが、それだけで就活が簡単になるわけではない。そこを勘違いしている人が失敗するのだ。そこで今回、宅建はどんな資格なのか、就職できないと言われる理由、どんな場合に有利に働くのか、宅建士の年収や業務内容、活躍できる業界などについて解説していく。
この記事はこんな方に読んでもらいたい。
- 宅建に興味がある
- 宅建の就活に不安がある
- 現状や将来性が知りたい
宅建を取ったあとの就活以外にも、知っておくべき資格の制度や優遇にも触れるので、読まないと損をしてしまうかもしれない。そして、この記事を参考に、宅建を取ることのメリットと生かし方を知ってもらい、よりよい就職活動に繋げてほしい。
宅建をとっても就職できない意味がないと言われる理由は?
宅建は就活や転職に有利に働く資格だと言われることが多い。確かに、実際に就職に生かせた!転職がしやすかった!という話はよく聞く。しかし、ただ宅建を取っただけでは役に立たなかったという人もいるのだ。実際のところはどうなのだろうか。
今回調べてわかったことは、宅建は就活やキャリアに活きることはあるが、それだけだと生かせない場合があるということである。
宅建は国家資格であるが、毎年の受験者や資格の取得者は非常に多いため、そこまで需要の高い資格とは言えないのだ。宅建の取得に加えて、企業への熱意と自分のアピールポイントを伝えられれば、就職は充分に可能で、資格を生かすも生かさないも本人次第である。
宅建があれば40代業界未経験でも就職できるか?
「40代で業界未経験だけれど、不動産業界に挑戦してみたい!!」
宅建の試験は毎年20万人もの人が受けている。受験者の平均年齢は35歳ほどで、40代の受験者も多い。その40代の受験者の中には、「最後の転職のチャンス!」と業界未経験でチャレンジする方もいる。
しかし、実際は業界未経験だと20代の若手のほうが優遇されるため、企業にアピールできる経験や実績がないと戦えない。つまり、今までのキャリアを生かせれば、充分就職は可能だ。実際に転職・就職を成功させている方はたくさんいる。
自分のキャリアと照らし合わせて、宅建を転職に生かせるのかどうなのか、改めて検討する必要がある。
フリーターでも宅建を取得すれば就職できる?
宅建は受験資格が無く、独学で誰でも受けることができるためニートやフリーターであっても、就職に繋げられる資格だ。その上、不動産業界は実務経験も大事だが、それよりも熱意や意欲が買われやすい業界である。
ニートやフリーターの場合は、将来に不安を感じ、いざ勉強を始めても、マイナスな情報を聞いたり勉強でつまずいたりすると諦めてしまうことが多い。しかし、壁はあるかもしれないが業界で頑張りたいという熱意があれば、充分に可能性があるので簡単に諦めるのは勿体ない。
面接時に職歴の空白期間について指摘されるかもしれないが、そこさえ対策を立てられればきっと就職できるだろう。
宅建をとっても就職できないのは本当?そもそも宅建とは?
「宅建士って、一体どんな業務を任されるのか?」
「年収はどのくらい?」
就職活動をする上で、そもそも宅建士とはどのような業務を担当するのか気になるだろう。そこで、ここでは宅建士の仕事はどんなものなのか、年収はどのくらいか、独立や転職はどうなのか、詳しく解説していきたい。
宅建士の業務では重要事項の押印と記名が独占でできる!
宅建とは「宅地建物取引士」の略で、宅地建物取引業法に定められている国家資格である。不動産業界のスペシャリストで、宅建士にしかできない業務(=業務独占)が3つある。
宅建業法で、宅建士だけができる3つの業務があり、これを3つの独占業務といいます。
- 重要事項説明書面への記名と押印
- 重要事項説明書面の内容の説明
- 37条書面への記名と押印
この3つの内容を簡単に説明すると、とても重要な業務であり、取引の際にどちらか一方が損をしないように重要事項の説明を行い、説明後に記名と押印を行う。この業務は宅建士しかできない。
この業務以外にやることは、一般スタッフと同じ仕事だ。お客様への対応、受付、説明、資料作りなど営業職であることが多い。
企業に就職したときの平均年収は500万円程度!
宅建士の年収は就職先によっても変わるが、大企業に就職した場合は600万、中小企業で500万前後と言われる。そのことがわかる資料を紹介する。下記に年齢別でまとめた宅建士の平均収入の資料を見ていこう。
【宅建士の年代別平均年収】
年齢 平均年収 20代 300~380万 30代 400~480万 40代 500~600万 50代 600~650万 60代 450~600万
このように年収は20代から増えていき、役職に就くなどして50代でピークを迎える形になることが多い。
他にも、女性より男性の年収が高い傾向にあり、地域別の平均年収で一番高かったのは東京都で700万、一番低かったのは沖縄で430万という結果になった。
また、宅建の資格手当として貰える金額は5,000~30,000円程が相場だ。しかし、宅建資格の必要性が低い企業では資格手当が受け取れないこともあるので、就職する前に確認が必要になる。
宅建を取れば独立開業も有利である!
宅建士になって独立して働くことも可能だ。独立し、開業を成功させれば、かなりの高収入も狙える。ただ、業界未経験で資格だけとっても独立はなかなかできないため、不動産業界で就職し、ある程度の経験を積んでからの開業をおすすめする。
しかし、いくら高収入が狙えるからと言っても、開業には大きなリスクが伴う。ネットワークを広げ、事業を成功させることができるかは、あなたの運と努力次第だ。
宅建があると転職にも有利!
宅建業法で「宅建業者は従業員5人に1人の割合で宅建士を置くこと」が義務付けられている。また、不動産業界は転職や退職による人の出入りが激しいため、宅建士を確保するのが困難になりやすい。そのため、宅建士には常に一定の需要がある。
また、実務経験を積むと転職がしやすくなり、不動産業界以外でも金融関係や建築関係でも有利に働く。宅建資格は生かし方次第で可能性は無限大なのだ。
宅建資格があると有利に転職!どんな知識が必要か?
宅建士は不動産業界でしか生かせないと思われがちだが、そんなことはない。しかし、新卒だとあまり優遇されないこともあるようなので、不動産業界で経験を積んでから、他の業界に挑戦してみるのがいいだろう。宅建士が有利に活躍できる業界が下記の3つの業界である。
- 不動産関係
- 金融関係
- 建築関係
不動産業界
不動産業界に入るなら、宅建の資格はメリットだらけだ。資格手当や昇進、収入アップ、仕事で必要な知識も持てる上に、仕事の活躍の場が広がり、転職や独立にも有利に働く。
ただし、宅建士として働くなら実務経験が2年以上あるか、登録実務講習を受ける必要があるため、資格取得後すぐに有利に働くわけではない。
金融業界
金融業界は担保が必要な融資を行う業務があるため、不動産の知識のある宅建士はとても相性がいい。すなわち、金融業界でも宅建士の知識は活きてくる。
求人を見てもわかるように、銀行や信用金庫勤務者でも宅建の資格を持った人を募集していることがわかる。特に都市銀行では、グループ会社に不動産会社を持っている企業が多いため、宅建士は重宝される。宅建の資格は金融関係でも重要視されている資格なのだ。
建築業界
建築業界でも宅建の資格は重要視されている。建築会社で建物を建てるだけでなく、建てた物件の販売までをやっている会社だと、販売のときに宅建士が必要だ。そのため、事業を拡大していきたい建築会社の場合、物件の販売取引のできる宅建士が必要で、営業経験のある宅建士が積極的に雇われる傾向にある。
このように宅建の資格プラス営業の実務経験がある宅建士は、他業界からも必要とされているのだ。
宅建をとっても就職できないは嘘!生かし方で仕事の可能性は無限大!
結論から言ってしまえば宅建は就活に充分生かせる。なぜなら、宅建士のみ行える業務独占があるうえに、宅建業者は5人に1人の割合で配置しなくてはいけないため、企業から常に一定の需要があるためだ。しかも、この5人に1人というのも非正規社員では駄目で、正社員でなくてはいけない。
このように宅建士が正社員として一定の需要があるため、就職にとても強い。
受験資格に年齢や学歴、実務経験の有無といった制限が無く、誰でも挑戦できるのも利点である。また、宅建の知識はマイホームを買うときも、副業などで不動産運用を行いたいときもとても役に立つ。
つまり、就職に生きる上に日常生活でもとても役立つのだ。
総括:宅建をとっても就職できない意味がないと言われる理由は?
ここまで宅建をとっても就職できないと言われる理由、そもそも宅建はどんな資格なのか、業務内容は?就職した際の年収、独立や転職について解説してきた。この記事の要点をまとめよう。
- 40代業界未経験やフリーターやニートでも今までの実績、企業への熱意を伝えられれば就職できる
- 宅建士には業務独占があり資格手当やキャリアアップなども有利になる
- 就職したときの年収は約500万円で独立も転職も可能
- 宅建は不動産業界だけでなく、金融や建築関係の企業でも活躍できる
- 宅建は就職だけでなく、日常でのマイホーム購入や不動産運用の際にも知識が生きてくる
このように宅建の資格は就活に充分生かせるが、それだけで就職できるわけではない。そのため就活では、宅建を取ることに加えて、さらに企業に熱意や自分の強みをアピールできる必要がある。そうすれば、就職できる可能性は格段にアップし、今後のキャリアアップや転職や独立に繋げることができ、高収入も目指せるのだ。
宅建を取得しても就職できないは全くの嘘なので、宅建をとるための勉強を迷っている人は、是非とも挑戦してもらいたい。受験資格が無く、皆に可能性がある国家資格で、独学で受験でき、ここまで可能性を広げられる資格は他にないからだ。