通信大学を卒業しても就職難?就職できないと言われる理由とは?

インターネットや指定テキストを使用した自宅学習によって、通学制大学と同等の教育・大卒資格を取得できるのが通信制大学だ。現代では様々な通信大学が門戸を開いており、通学制大学より安い学費と自分のペースで学習を進められる点が最大の特徴である。

さて、通信大学には「卒業しても就職できない」という偏見が見られることもあるが、結論から言えばそれは間違いだろう。通信大学を卒業したからといって就職できなくなることはない。むしろ、就職活動を有利に進めやすくなる一面も存在するのだ。

本記事では、通信大学に纏わる「就職できないという話は本当なのだろうか?」「通信大学を卒業しても就活を問題なく終えられるだろうか?」といった疑問を解消する。最後まで読み進めていただければ幸いだ。

「通信大学は就職できない」は甘え?就職難と考えられる理由は?

「通信大学は就職できない」は甘え?就職難と考えられる理由は?

インターネット上では往々にして「就職できないのは甘え」という意見が散見される。そういった点では通学制大学に通う学生も通信大学生と共通した問題を抱えているはずだが、後者はより深刻に捉えられやすい。

なぜ通信大学は就職できないイメージを持たれやすいのだろうか。まずはネガティブな印象を与えてしまう原因を解説する。

通信大学への偏見と嘘

根強いのが通信大学への偏見だ。頻繁に大学のキャンパスに赴く通学制大学とは異なり、通信制大学は基本的に自宅学習の形を取っている。スクーリング授業や試験がない限り通学しない形態に悪印象を抱く者は多い。

通学制大学と通信大学を比較するのはナンセンスだ。それぞれ優れた点があり、どちらかを貶しめてよいわけではない。とはいえ、どうしても「通信大学は一般的な大学と比べて劣っている」と考える者も存在する。

そういった声の大半は通信大学の教育を疑問視する層によるものだ。「自宅学習では質の良い教育を受けられないのではないか」「通学制大学より学費が安いのは素晴らしいが、代わりに教育に力を入れていないのではないか?」という懸念が偏見に繋がっている。

しかし、その偏見は嘘偽りだ。文部科学省が公開している資料を見れば一目瞭然である。大学通信教育における質保証の報告では、以下のような文言が記載されているからだ。

印刷教材等による授業(通信授業)は、大学通信教育として認可された場合のみ可能。(中略)2単位科目では、第1レポート合格後に、第2レポートに合格して、各会場での修了認定試験の受験資格を獲得。通学課程よりも、厳密な単位修得が前提となる。年度を超えて履修や、 不合格による再提出などの計画的な履修も可能。

引用した文章の「通学課程よりも、厳密な単位修得が前提となる」に注目してほしい。通信大学では単位修得のためにレポートを複数回提出する必要があり、それとは別に単位修得試験も設けられている。通学制大学と同等の教育水準を保つため、通信大学による学習には様々な工夫が凝らされているのだ。

これにより通信教育課程が通学課程に劣っているわけではないと明確になったわけだが、疑問は教育水準にのみ留まるものではない。就活をするにあたって懸念される要素はまだ存在しているのだ。通信大学がなぜ就職とかけ離れたイメージを持たれるのか、次の項目でも詳しく説明していく。

社会人が多く在籍している

既に社会人として働く人物が多く在籍しているため、就職とかけ離れたイメージを持たれてしまうのも原因の一つだと考えられる。社会人が在籍している根拠に関しては、放送大学が定期的におこなっている進路状況のアンケート調査結果をご覧いただきたい。

現在の仕事を継続 425名
新規就職 9名
転職 13名
大学院に進学 18名
大学、専修学校等に進学 80名
その他 142名
合計 687名

その他には家事従事者や定年退職者、就職活動中の者、自宅学習、ボランティア、地域貢献活動等が含まれる。とはいえ、これで在籍者の半数以上が社会人だと明らかになった。

新規就職者はわずか9名だが、院進や専修学校への進学を選択した学生も多い。一概に「通信大学は就職できない」と決めつけるのは早計だ。ただ、現役大学生が通信大学を卒業した場合の就活については懸念が残る。

大抵の社会人は主に大卒資格や教員免許の取得、そして生涯学習を目的として入学している。既に就職している者は就活について心配する必要がない。それでは卒業後に就活しようと考えている者はどうなるのだろうか?

通信大学が就職できないイメージを払拭する4つのポイントは?

通信大学が就職できないイメージを払拭する4つのポイントは?

通信大学が就職できないと考えられる原因を明確に二分化したが、もっとも重要なのは通信大学を卒業した者が就活で上手く立ち回る方法だろう。ネガティブな印象を払拭するにはどうすればよいのだろうか。

以下の項目では就活を有利に進めるために重視すべきポイントを紹介する。

卒業した学生は新卒扱いになる

「通信大学を卒業しても新卒扱いにはならない」という話はデマだ。3月末(後期生の場合は9月末のケースもある)に卒業した学生は新卒になる。よって、新卒募集を実施している企業を就職先に検討することが可能だ。

通信大学を卒業しても不利になるだけ、という事態にはならないので安心してほしい。とはいえ、昨今のコロナ禍が就活市場に与えた影響を不安視する声も多いのではないだろうか。新卒需要については、株式会社マイナビが発表した「マイナビ2023年卒企業新卒採用予定調査」の結果をご覧いただきたい。

全体的に去年の調査結果より採用予定数を「増やす」と答えた企業が多く、それとは対照的に「減らす」「なし」の数が減少している。就活市場の採用基準は緩やかになっているようだ。通信大学を卒業した学生には様々な職業の選択肢が広がっている。新卒入社を目指す場合は市場の動向を要チェックだ。

在学中に資格を取得できる

通学制大学の場合、シラバスの確認は必須だ。履修登録した講義が何曜日の何時に始まるのかを把握しなければならない。さらに教室が急に変更されることもある。以上を踏まえた上で、通信大学に在籍する学生が自分のペースで学習を進められる点に注目しよう。

通信大学ではスクーリング授業を受ける機会が少ない。実際に大学へ通わなければならない講義もあるが、一部の科目はオンラインで代替可能だ。基本的には自宅学習をおこなうため、通学時間を省けるのが利点である。

そうなれば空いた時間を資格勉強に割く選択肢が発生するだろう。事前に希望する職種で有利になる資格を調べておくのがベターだ。

特に、通信大学は大卒資格の取得だけでなく様々な資格・課程を修了可能だ。主な資格として日本語教員養成課程や社会調査士、認定心理士、図書館司書などが挙げられるが、通信大学により取得できる資格は大きく異なるためカリキュラムの確認が必要である。

業界未経験可・年齢不問の条件で歓迎されるケースもある

求人サイトの募集には様々な条件が記載されている。業界未経験可・年齢不問・学歴不問・履歴書不要などの、項目を見た記憶がある者は多いのではないだろうか。通信大学生にとって気になるのは前二つの項目だろう。 

日本の業界は深刻な人手不足だ。猫の手も借りたい状況に陥っている企業は多く、業界未経験の者や新卒でない者を積極的に採用する場合もある。通信大学を卒業した後、この条件を掲げる求人募集に飛びつくのも手だ。

求人サイトの検索機能を使えば資格取得支援制度を導入している会社が一目でわかる。気になった企業の採用情報は必ず細部まで確認しておくべきだ。在学中に任意の資格を得られなかった時は、資格取得の支援をおこなっている企業の検討を推奨する。

面接で不利な印象は覆せる

面接で不利な印象は覆せる

求人サイトには業界未経験可・年齢不問を掲げる企業が少なからず存在する。しかし、先の項目で解説したように通信大学を卒業した者に偏見を持つ面接官も少なからず居るだろう。そういった不利な印象を就活で覆すには、面接に赴いた際のアピールが必須だ。

通学制大学に通う者が大半を占める現状において、通信大学を卒業して就職する人物は珍しいと言える。つまり、面接官の印象に残りやすいのだ。面接ではこの利点を活かす方法が求められる。通信制大学を選んだ理由や在籍中に取り組んだことを丁寧に答えよう。

通信大学ならではのエピソードを交えて話せば掴みは抜群だ。たとえば自己管理能力が挙げられる。どの大学でも講義を受けるためには履修登録や単位修得が求められるが、通信大学ではそういったアナウンスはパンフレットや大学の公式ホームページ上でのみ実施されるため適度なチェックが必要だ。

もちろん履修登録後は自宅学習を進めなければならない。スクーリングの場合は講義を他の通信大学生とともに受講できるが、大半は孤独な作業になる。指定テキストを自分の頭で噛み砕いて理解するだけでなく、自分のペースで学習を進める要領が必須なのだ。この実情を面接で活かすとよいだろう。

「通信大学は就職できない」は嘘!通信大学出の新卒でも就職できる

「通信大学は就職できない」は嘘!通信大学出の新卒でも就職できる

通信制大学を卒業して就職難に見舞われることはない。コロナ禍の影響で企業の新卒採用数が減少傾向にあったものの、マイナビの調査結果では2023年卒の採用数を増やそうと考える企業が増加している。徐々に日本のコロナ不況は落ち着いていくだろう。あらためて、本記事の内容を要約する。

  • 通信制は通学制と同等の教育を受けられるため教育の差がない
  • 通信課程を修了すれば大卒資格を問題なく取得可能である
  • 通信制大学ならではの強みがある

繰り返すが「就職できないという話は本当なのだろうか?」「通信大学を卒業しても就活を問題なく終えられるだろうか?」と悩む必要はない。上手く立ち回ればマイナスイメージを払拭できるのだ。ぜひ本記事で得た情報を就職活動の際に役立ててほしい。