高卒5年目の手取りは大卒より低い?オススメ職業3選の年収は?

厚生労働省の公式ホームページに記載されている『令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給』によれば、高卒の初任給は平均16万7400円だ。また、給料から税や保険料を差し引けば手取りは16万を下回る。結果的に高卒1年目の手取りは13万前後になるわけだが「会社に長年勤めていれば基本給が上がるのではないか」と考える方は多いのではないだろうか。

本記事では、高卒で入社した人物の5年目の手取りを取り上げた上で「手取りを増やす際に注意点はあるの?」「手取りを増やすにはどうすれば?」という疑問に答えていく。高年収を期待できる職業も紹介するため、これから就職活動を始める方に参考にしていただければ幸いである。

高卒は入社5年目の手取りが大卒より低い?大卒が評価される理由は?

高卒は入社5年目の手取りが大卒より低い?大卒が評価される理由は?

一般的に、高卒は大卒よりも手取りが低い傾向になると考えられている。多くの企業が大卒を優先するのは、大学を卒業した人物の計画性や業務遂行能力を評価しているからだ。高卒でも単位制高校を卒業した人材であれば能力の評価に一考の余地はある。しかし、大学とは文学や法学、哲学、経済学など、高校より広範囲の勉強を実行しなければならない教育機関だ。大卒の計画性・業務遂行能力が評価されるのは、こうした高校との差が影響している。結果的に「高卒は大卒より給料が上がりにくい」と思われてしまう。コミュニケーション能力や創造性、リーダーシップを優先する職場では最終学歴より総合的な能力を評価されやすいものの、高卒・大卒に明確な差があるのは明白だ。しかし、実際は両者にどれほどの差異があるのだろうか。以降の項目では、入社5年目の平均年収や生涯年収・退職金のデータを比較する。

社会人5年目の平均年収

国税庁が平成29年に公表した『民間給与実態統計調査』では入社5年目の平均年収は約350万円だと報告されている。このデータは最終学歴が高卒以外の人物も調査対象に含まれているため、実際の年収は300万弱だと考えるべきだ。最初に言及した通り高卒の初任給は平均16万7400円のため妥当に思えるものの、気になるのは高卒以外の学歴を持つ者の生涯年収である。高卒・大卒の年収には、はたしてどの程度の差があるのだろうか?

生涯年収の差について

生涯年収の差について

独立行政法人として知られる労働政策研究・研修機構が公表した『ユースフル労働統計―労働統計加工指標集―2020』には、男女別の生涯年収が記載されている。学歴別の生涯年収は下記の通りだ。まず最初に、男性の生涯年収に目を通してみてほしい。

  • 高卒:2億5800万円
  • 大卒:2億9270万円
  • 高専・短大卒:2億5210万円

高卒と高専・短大卒はほぼ同等の年収になっているものの、両者とも大卒(大学院卒を含む)とは4000万弱の差があるようだ。その一方で、女性の生涯年収は男性と比べて若干低い傾向にあることが判明している。

  • 高卒:1億8800万円
  • 大卒:2億4400万円
  • 高専・短大卒:2億600万円

女性は学歴による影響が顕著で、高卒と大卒の間には5000万以上もの差が生じるようだ。なお、同資料(『ユースフル労働統計―労働統計加工指標集―2020』)によれば1000人以上の規模を誇る企業に入社した場合は高卒でも大卒の生涯年収に迫ると明らかにされており、高卒の男性は2億8420万円、女性は2億950万円が平均になっている。就職活動を始める際は、会社の企業規模にも目を向けてみてはいかがだろうか。

退職金にも差はあるの?

高卒とその他の学歴を比較した場合、生涯年収には明確な差異がある。当然、退職金として受け取れる金額も変わってくるため、退職金の差についても理解を深めよう。東京都産業労働局が公表している『中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)』のデータによれば、退職金の支給額は下記の通りだ。

  • 高卒:約543万円
  • 大卒:約706万円
  • 高専・短大卒:約591万円

上記のデータは30年会社に勤めた人物が自己都合退職した場合の支給額として記載されているため、会社都合退職であればさらに退職金が支給されるケースもあるだろう。とはいえ、大卒の退職金が高卒より150万以上も高いのは見ての通りである。生涯年収や退職金の差を埋めるにははたしてどうすればよいのだろうか。次の項目では、高卒が手取りを多く稼げる職業について触れていく。

高卒5年目で手取りを稼げる職業は?

高卒5年目で手取りを稼げる職業は?

高卒5年目の手取りを上げるために昇給を目指す人物は決して少なくないかもしれない。しかし、昇給で給与が上がったとしても手取りを必ず稼げるわけではないとはご存知だろうか。基本給が上昇しても個人の所得に税が課される点は変わらないため、毎年支払う金額が変動する『厚生年金』や『健康保険』によっては、むしろ負担が増加する可能性があるのだ。長期的に考えれば昇給は魅力的である。とはいえ、いざという時は希望する職業を変えたり、転職することで基本給を大幅にアップさせる必要があるのではないだろうか。以下の項目では、高卒5年目で手取りを稼げる職業を3つ取り上げている。これから就職活動を始める方、転職を考える方は、ぜひ下記の内容を参考にしてほしい。

製造業

高卒が高収入を目指せる職業として、製造業(工業)は非常に人気だ。厚生労働省が公開した平成30年賃金構造基本統計調査の概況によれば、高卒5年目にあたる20〜24歳の男性の基本給は平均17万で、それ以降は55〜59歳まで基本給・ボーナスが上がり続けている。35〜39歳になってからは年収が平均400万を超えるため、堅実に稼ぐことが可能だ。初任給は低いものの、製造業で役立つ資格を持っていれば自分の能力を評価される。中には資格給として月収に加算される資格もあるため、積極的に資格を取得してみてはいかがだろうか。

公務員

公務員の平均年収は国家公務員と地方公務員のどちらを選択するかによって若干変動するものの、両者とも約600万円を上回る(引用:『令和3年国家公務員給与等実態調査』)平均年収であることを報告されている。製造業と同じく、若い間は給料が比較的少ないとはいえ、夏・冬にボーナスが与えられる利点は大きいのではないだろうか。離職率やリストラの可能性が低く、退職金として支給される金額も多いため、安定性を重視する方はぜひ公務員試験を検討してほしい。

土木作業員

土木作業員は未経験者を歓迎する求人募集が多く、業界全体が人手不足に陥っている状況も相まって就職が比較的容易な職業だ。主な業務内容は荷物の運搬や掘削機械・ショベルカーなどの重機の運転で、運転免許を取得すれば重宝してもらえる。厚生労働省が公開した『令和3年賃金構造基本統計調査結果の概況』のデータを参照したところ、平均年収は約396万円だ。勤務先の企業規模が大きいほど土木作業員の年収も上昇しているため、可能であれば大規模の事業所を持つ企業に応募するべきだと考えられる。土木建設業界を希望する際は「建設機械施工技士」や「土木施工管理技士」などの国家資格を取得すれば採用率がアップするため、堅実に就活を進めたい方はぜひ資格勉強を始めてほしい。

高卒5年目の手取りを増やす注意点

高卒5年目の手取りを増やす注意点

高卒5年目の手取りを転職や副業によって増やしたいと考えている方は、いくつかの注意事項を考慮する必要がある。特に、税額控除の事前準備に関する理解を深めたり、就職活動の際は希望する職業・業界の需要を確かめることが重要だ。以下の項目では、前述した2点を重視すべき理由について解説する。

確定申告の事前準備について

手取りについて考える時、最初に注意しなければならないのが確定申告だ。所得額・控除額を税務署に申告する作業のことで、社会人なら誰もが実施しなければならない。必然的に、就職活動を控えている方は確定申告に対する理解を深める必要があるのだ。国税庁の公式ホームページ上では、確定申告の際に持参する書類について詳しく記載されている。共通書類は下記の通りだ。

共通
全員 印章
マイナンバーカードをお持ちの方 <番号確認書類・身元確認書類>マイナンバーカード(写しによる確認の場合は、表面及び裏面の写しが必要)
マイナンバーカードをお持ちでない方 ①<番号確認書類>通知カードやマイナンバーの記載のある住民票の写し等のうちいずれか1つ
②<身元確認書類>運転免許証、公的医療保険の被保険者証、パスポート、在留カード等のうちいずれか1つ
昨年分の確定申告をされている方 昨年分の申告書等の控え
確定申告会場で電子申告をされたことのある方 ①利用者識別番号を取得した際に交付された「利用者識別番号等の通知」(利用者識別番号及び暗証番号の記載がある書類)
②上記①がない場合は、事前に税務署から送付されたはがきなどで「利用者識別番号が分かる書類」
税金の還付を受ける申告をされる方 申告される方名義の預貯金口座番号が分かるもの
扶養している者や事業専従者がいる方 その者のマイナンバーが分かるもの

医療費控除や寄附金控除に関しては同ホームページ上でPDF形式のファイルが公開されているため、そちらも参照してほしい。

就職活動の際は収入に限らず職業の需要・安定性も考慮しよう

就職活動を始める際、まず注目するのは企業に勤務することで得られる年収の金額ではないだろうか。もらえる初任給や基本給、ボーナスの額が多いほど理想的な職場だと考える方も決して少なくないはずだ。しかし、もっとも重要な点は年収ではなく職業の将来性である。業界全体の需要や安定性を考慮せずに就職した場合、突然仕事を失ったり、期待した給料やボーナスを獲得できない可能性もあるのだ。高校を卒業してすぐに就職した結果「この仕事で数十年食べていける」と安心せず、常に失業の可能性を考えておく必要がある。重ねて言うが、数万人規模で失業者が増加したコロナ禍のように「就職さえ終われば大丈夫」ということはない。これから就活を始める方はぜひ、希望する職業の需要や安定性に目を向けていただければ幸いだ。

高卒5年目の手取りを上げたい時は年収の高い職業に目を向けよう

高卒5年目の手取りを上げたい時は年収の高い職業に目を向けよう

高卒5年目の手取りを多く稼ぎたい場合、平均年収の高い職業に就くことが重要だ。本業とは別に副業を始める選択肢も存在しているものの、近年は令和5年10月1日に導入されるインボイス制度によって個人事業主の所得が下がる可能性が懸念されている。

確定申告の手間が増加するだけでなく、税負担も一気に増える恐れがあるため、高年収を目指す方は副業より転職・資格勉強をしたほうが期待した成果を得られる可能性が上がるのではないだろうか。昨今の人手不足問題は製造業や土木建設業に限らず、あらゆる業界に影響しているため、就職活動を始めるには絶好の機会だ。本記事で紹介した内容を参考に就職先選びを実施していただければ幸いである。