「とらばーゆってどういう意味?」
「とらばーゆは、外国の言葉から来ているって本当?」
CMや雑誌等で「とらばーゆ」という言葉を見聞きしたことがあるだろう。とらばーゆとは、女性向けの転職サイトのことだ。しかし、最近はあまり見かけなくなったという声も多い。そんなとらばーゆとは実際どんな意味の言葉なのか知らないだろう。とらばーゆは転職サイトオリジナルの名前?英語から来ているの?フランス語なの?などと言われているが、果たしてどうなのだろうか。
この記事では、とらばーゆがどんなものなのか、意味や語源を解説する。豆知識として知っておくと、雑談で話題にできるかもしれないのでよかったら最後まで読んでほしい。
とらばーゆの意味は女性の転職サイト?
「とらばーゆってなに?」
なんとなく聞いたことはあるが、どんなものだかわからない人も多いはず。実は、とらばーゆは女性向けの転職サイトなのである。運営元は株式会社リクルートジョブズという会社で、とらばーゆの他にタウンワークやフロムエーを運営しているのだ。その中でも女性に特化して運営されているサイトが、とらばーゆ。
このように女性に特化した求人サイトなので、多様な雇用形態や働き方を選べる求人が豊富だ。そんなとらばーゆにある求人の特徴を3つ紹介する。
とらばーゆにある求人の特徴3選
女性向け転職サイトである「とらばーゆ」にある求人の特徴は下記の3つである。
- 社会人経験と高い転職意欲のある女性向け
- ビューティ・ファッション・看護に関して専門の求人サイトがある
- 東京など都市部を中心としている
社会人経験と高い転職意欲のある女性向け
とらばーゆの求人は、社会人経験と高い転職意欲のある女性向けのものが多い。実際にとらばーゆユーザーの97%以上が女性というデータもあり、女性の転職に適した求人が豊富である。
また、対象女性の年齢層は幅広く取り扱っており、20~40代までの女性を積極的に採用している。また女性に特化したサイトなため、結婚や出産などライフイベントに合わせやすい仕事がたくさん見つかる。
ビューティー・ファッション・看護に関して専門の求人サイトがある
とらばーゆの求人は、女性の割合の高い美容(ビューティー)・アパレル(ファッション)・看護に関して、専門の求人ページが設けられている。そのため、資格保持者や業務経験者、やりたい仕事が決まっている女性には転職先が探しやすくなっているのだ。
- とらばーゆビューティー
- とらばーゆファッション
- とらばーゆ看護
例えば、ビューティーのページにはエステティシャンやネイリスト、美容師の求人がある。ファッションのサイトには、化粧品販売スタッフやアパレルショップの店員の求人が出ている。看護のページには、看護や看護助手の他、事務職や受付の仕事も見つけることができるのだ。
このように、資格保持者ややりたい仕事が決まっている場合はこの専門の求人ページで仕事探しをすることをおすすめする。
東京など都市部を中心としている
とらばーゆの求人は、関東なら東京や神奈川、関西なら大阪、東海なら愛知など都市部を中心としたものが多い。そのため、都市部での転職を考えている場合はおすすめだ。しかし、関東なら栃木や群馬などの求人は取り扱っていない。このように地方在住の場合はなかなか希望の仕事が見つからない可能性があるため注意が必要。
また、とらばーゆは「関東版」「関西版」「東海版」のように地域で求人ページが分けられているのも特徴だ。求人の見つからない都道府県もあるため、サイトで求人の検索をかける際に希望の地域が含まれているのか事前に確認しよう。
「とらばる」「とらばーゆする」で転職するという意味の言葉
とらばーゆから派生した「とらばる」「とらばーゆする」という言葉がある。これらは転職するという意味で話題になった言葉。
今はインターネットの求人サイトがメインのとらばーゆも、もともとは、1980年に創刊された転職や求人情報を取り扱う雑誌だった。当時はまだ珍しかった女性の転職やキャリア形成を中心に取り扱っていたので、注目を集めたのだ。この女性向け求人雑誌がとても話題になり昭和56年(1980)頃には「とらばーゆする」が流行語にも選ばれた。
今はあまり「とらばーゆする」という言葉は使わないが、当時は女性が転職したいと言うときによく使われた言葉だったのだ。このような情報誌だったとらばーゆが、現在の転職サイトという形になったのは平成19年(2007)頃のこと。この頃から徐々に雑誌が減っていき、求人サイトに移行していったのだ。
とらばーゆは英語ではなくフランス語
とらばーゆは英語ではなく、フランス語から来ている。とらばーゆのスペルは「travail」で発音は「トラヴァイユ」である。このtravailは、フランスで仕事・労働という意味で使われているのだ。これが元になり、日本での女性向け転職サイトの名前に使われるようになった。そこから当時の日本では、とらばーゆは転職という意味を持つようになったのだ。
とらばーゆ(travail)はフランス語で2つの意味がある?
ここでは、とらばーゆ(travail)はフランス語で仕事という意味で、日本では転職サイトの名前になったことから転職という意味で使われていたのはわかった。今度はtravailという単語について意味や語源、成り立ちを詳しく紹介しよう。
意味1. フランス語でとらばーゆ(travail)の意味は苦しみや陣痛
フランス語の(travail)とらばーゆには仕事という意味の他に、苦しみや陣痛という意味がある。確かに仕事は苦しいものだと思う人もいるが、日本人はあまり仕事にはネガティブな意味がある感じはしないだろう。
仕事と苦しみと陣痛はなかなか結びつかないような感じがするが、フランス語ではtravailの1単語にこれら3つの意味が含まれているのである。どうしてなのかというと、宗教的な理由が関係すると言われているのだ。
キリスト教の考え方で仕事は罰である
フランス語の「travail」仕事の他に苦しみや陣痛という意味があるのは、キリスト教の世界ではもともと仕事は罰であるという考え方があるためだと言われている。アダムとイブは神様の約束を破ったがために、地上の楽園を追い出される。つまり、生活していくために自分で働かないといけなくなったわけだ。
神様は罰として男性には「travail」つまり「仕事」という罰を与えた。そして女性には「陣痛の痛み」を罰として与えたのだ。そういったことから、フランス語の「travail」仕事の他に苦しみや陣痛という意味があるのだと言われている。
「travail」の語源である中世ラテン語「trepaliare」は拷問するという意味
フランス語「travail」(トラヴァイユ)で仕事・労働、それに-lerを付けて「travailler」(トラヴァイエ)で仕事をするという意味になる。このtravaillerの語源は何かというと中世ラテン語の「trepaliare」(トレパリアーレ)である。このtrepaliareの意味は先程の宗教的な側面もあり、何と「拷問する」なのだ。
他に「travail」の語源は、ラテン語の「tripalium」と言われる場合もあるが、このtripaliumは「拷問器具」のこと。3本の杭を使って画像のように貼り付けにされる拷問のことを言う。
拷問やはりつけなど恐ろしい言葉がでできたが、このように「travail」の語源である中世ラテン語「trepaliare」には拷問するという意味があるのだ。
アルバイトの語源は奴隷
他にアルバイトという言葉は、ドイツ語の「Arbeit」から来ているが、ノルウェー語で「arbeid」、デンマーク語で「arbejde」、スウェーデン語で「arbetet」である。これらすべての単語に働くという意味がある。
このドイツ語「Arbeit」の最も有力な語源はゲルマン語の「arba」なのだが、その意味も恐ろしいことに下男、奴隷、家来という意味だそう。また、新しい語源辞書によればゲルマン語の arbejo という「孤児であるために苦労して労働する」といった意味の動詞だと言われている。その歴史は印欧語の *orbh-(孤児、遺児)にまで遡る。
このように仕事という言葉には、「拷問」「下男、奴隷、家来」「苦痛」という恐ろしい意味が隠れていることがわかる。
意味2. フランス語のとらばーゆ(travail)は英語の旅行(travel)の語源になっている?
英語の旅行「travel」は、フランス語の仕事「travaill」が語源。であれば前述の内容を参考にするとtravelも苦痛という意味を含むということになる。
確かに昔の旅行は現在に比べたら、体力的にも精神的にも苦しいものだっただろう。大荷物を持って長距離を移動し、食べ物も十分に確保できるかわからない、大変なことだらけだったはずだ。このようにtravelもtravaillも昔の人にとっては、拷問のような苦痛を感じることだったのかもしれない。
総括:とらばーゆの意味は4つ!日本では転職、フランスでは仕事や苦しみ、陣痛である
とらばーゆの意味を深く調べていくと、苦痛、陣痛、拷問など恐ろしい歴史があることがわかった。現代のフランス人に日本語の発音でとらばーゆと言っても、伝わらないだろう。また、現在は「私、とらばーゆする!」という人はほとんどいないだろうし、日本の若い人に言ってもほとんど伝わらない。このように言語は時代の流れとともに、変化していくものなのである。
- とらばーゆは女性の転職サイトで「とらばーゆする」が流行語にもなった
- とらばーゆの元々はフランス語で仕事という意味
- 歴史的に見るととらばーゆは苦痛や陣痛という意味を持っている
- とらばーゆには日本で転職、フランス語で仕事、苦痛、陣痛という意味で使われる
とらばーゆを調べていくと大まかに分けて4つの意味があることがわかった。その背景や歴史も知れて愛着が湧いてきたのではないだろうか。とらばーゆ以外にもこのようにサイト名や企業名、商品名に海外のかっこいい名前が付けられていることがある。その中に気になった言葉があったら、どこの国の言葉なのか、どういう意味や歴史があるのか調べてみると新たな発見があるかもしれない。