働くのが怖い人のトラウマを解消して無事に就職するには?
就職に対するトラウマを持っており、働くのが怖いと考える人は実は少なくない。総務省統計局が2022年2月に公表した『労働力調査(2021年度)』によれば、非労働力人口は4000万人を超えている。その中で「適当な仕事がありそうにない」と答えた者はおよそ92万人だった。他の理由によって就職していない人物もみられる。もちろん、この統計結果に数えられた全員が就職にトラウマを抱えているわけではない。しかし働くのが怖いと悩んでいる方が居るのは事実である。本記事では「仕事や人間関係にトラウマを持つ人物が就職するためにはどうすればいいのか」「この問題を解決する策はあるのか」などという疑問に触れていく。

働くのが怖い人物が抱え込んでいるトラウマについて

働くのが怖い人物が抱え込んでいるトラウマについて
働くのが怖い、そう考える原因は人によって様々だ。何かの拍子に嫌な記憶が頭をよぎったり、コミュニケーションを苦に感じていたりと、トラウマには複数の種類があると考えられる。就職に対するトラウマ・不安を解決するには根本的な原因を知る必要があるだろう。はじめに、労働に恐怖を感じる人物が持つトラウマについて解説する。

嫌な出来事がフラッシュバックする

嫌な出来事が頻繁にフラッシュバックすることにより、社会に対して抱いている不安と恐怖を振り払えない人物は多い。こうした悩みを持つ者の多くは繊細な性格で、過去の経験を長く引き摺っている。

この症状は心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ばれる精神障害だ。放置すれば就職活動の妨げになるのは言うまでもなく、日常生活にも支障が出てしまう。フラッシュバックに心当たりがある場合、早急に症状を改善する必要がある。

返事が上手くできない

対人関係に関する問題として、他人に上手く返事ができないケースも挙げられる。

声をかけられても咄嗟に反応できなかった、そういう場面に心当たりはないだろうか。本心では「返事をしなければならない」と考えているにも関わらず、どうしても口を開けられない。自分の意思と反する行動を取ってしまう苦痛は想像を絶するほどだ。

とはいえ、このトラウマは解決不可能な問題ではない。明確に名付けられている疾患の一つだからだ。正確には、場面緘黙症と呼ばれる精神障害である。心的外傷後ストレス障害(PTSD)同様、トラウマを払拭するには専門の医師に相談しなければならない。

うつで行動する気になれない

なかには鬱病を患っており、就職活動をおこなう気力のない者も居るのではないだろうか。就職できない自分に対する漠然とした不安を持っている人物でも、何も意欲が湧かずに無気力な状態が続くケースも存在する。

このような問題を抱えている場合、やはり医療機関への相談は必須だ。自然に寛解することがあるかもしれないが、何らかの拍子に再び調子が落ち込んでしまう可能性も考えられる。もっとも安心できるのは専門家の判断だ。胸の奥にある不安や恐怖に少しずつ向き合おう。

仕事ができない人間だった

仕事ができない人間だった
過去の経験がトラウマになって行動できない人物のなかには、以前は働いていた者も当てはまる。その場合、最初こそ不安や恐怖を抑えられる程度にも関わらず、社会に出た途端に「上司や同僚にダメな奴だと思われてしまった」「仕事が出来なくてどうしようもない人間だ」と思い至り、労働が苦になるケースが多いようだ。

せっかく社会人になれたのに自分は仕事ができない人間だった、そう思った時のショックは計り知れない。自分に合った職業に就けなかったことが原因だと考えられるが、自分の能力やコミュニケーションに関するトラウマをすぐ取り除くのは困難だ。長期的に向き合わなければならない問題だろう。

親の意向に反することができない

珍しいケースとしては、親が就職に反対する場合もある。過保護な親は自分の目が届く場所に子どもが居てほしいと願うものだ。そのため、就職して親元を離れようとした途端に我が子へ牙を剥きやすい。

一般家庭の子どもは盲目的に親を信じることはないため就職活動に支障はなく、親も子どもの自立をわざわざ妨げようとはしないが、過保護すぎる親の行動は子どもにとって甘い毒となる。心の奥では社会人として働きたい、自立したいと考えているにも関わらず、親の意向に従ってしまうのだ。

子どもが過保護な親にトラウマを抱いているケースもあり、非常にデリケートな問題だ。この場合は親が子を支配したがる家庭ではなく、外の世界に自分の居場所を見つける必要があるのではないだろうか。

働くのが怖い人物のトラウマを解消する方法はあるのか

働くのが怖い人物のトラウマを解消する方法はあるのか
就職活動に支障をきたしている人物が抱く不安や恐怖について一通り解説したが、トラウマの問題点は充分に理解していただけただろうか。甘えが原因で「どうしても働くのが怖い」と怯えているわけではない。それぞれトラウマの原因があり、これさえ解決すれば就職に意欲を持てるケースがほとんどだ。働くのが怖い人物のトラウマを克服する方法を知りたいと考える方は多いだろう。この項目では、トラウマの対策について言及する。

トラウマを克服する第一歩は生活リズムの安定化にある

トラウマを克服するには、第一に生活リズムを整える必要がある。就職活動に不安と恐怖を感じている者の多くは不規則な生活を過ごしており、心身ともに不健康だ。

将来は「夜勤のある職に就きたい」と考えているわけでなければ、まずは朝に起きて夜に眠る習慣を取り戻そう。起床時に備えてスマートフォンや目覚まし時計のアラーム機能を利用するのが効果的だ。

もちろん、朝食の摂取も欠かせない。最初こそ面倒で手をつけなかったり、そもそも空腹感がない場合がほとんどかもしれないが、人間の脳を動かすエネルギーを生み出すには朝食が必要不可欠だからだ。朝の食事は集中力を大きく向上させるため、怠らないように注意してほしい。

信頼できる相談相手を見つける

就寝時刻の正常化・朝食の摂取を問題なく終えられるようになれば、いよいよ次のステップに進むことができる。生活リズムが安定した後は信頼できる相談相手を見つけよう。

大半の人物は「いきなり信頼に足る友人を見つけるのは困難だ」と考えるかもしれないが、実際はそう難しい話ではない。就職に対するトラウマはいずれ克服すべき障壁だが、同じ悩みを抱えている人物との共通点でもあるのだ。

インターネット上で自分と類似したトラウマを抱えている、あるいは克服した人物を探し当てることにより、同じ共通点のある者同士が親交を深めることが可能になる。さらに第三者視点でアドバイスが貰える可能性もあり、一気にトラウマが解消しやすくなるのではないだろうか。

もっとも確実に解消できるわけではないし、なかには信頼できる相談相手を作るのに難航するケースもあるはずだ。しかし、SNSなどのツールは人間関係を広げるのに大きく役立つ。他人と接するのが不安でも、インターネットであれば実際に顔を合わせることもない。あまり負担がかからない方法のため、ぜひ試していただければ幸いである。

トラウマの対処法を探す

トラウマの対処法を探す
規則正しい生活を過ごせるようになれば精神的な疲労は少しずつ回復していく。信頼できる相手が居ればさらに安定するが、トラウマに対処する方法があればより完璧だ。

これまではトラウマを克服する直接的な方法について深く言及しなかった。正しい生活習慣と親しい友人を得ても、トラウマの根本的な解決に繋がっているとは言い難い。

問題を解決する確実な手段は二つだ。ストレスの発散によりトラウマを弱める、あるいは専門の医療機関へ受診することこそがトラウマ克服の近道である。それぞれ自分に合った方法を優先してほしい。

趣味を作ってストレスを発散する

対人関係に不安があったり、過去の出来事がフラッシュバックして嫌な気分になってしまう場合、趣味を作ることで少しずつトラウマを克服できる。心の底から楽しいと思える趣味に出会えれば、自然とストレスは薄まるのだ。自分の心が占めるスペースは趣味が大半になり、トラウマは徐々に小さくなる。この状態が長期間続けばトラウマが解消されるため、自分にぴったりな趣味を見つけよう。

趣味を見つけるのはそう難しいことではない。まず、自分の性格が外交的・内向的のどちらに偏っているか確認しておく必要がある。内向的な性格だと思ったならば、室内で楽しめる趣味を探せばいい。代表的なのは映画鑑賞や読書、料理、裁縫などで、自分が興味を惹かれた趣味に手を付けるのがオススメだ。外交的な性格であれば登山にキャンプ、スイミングと、こちらも様々な例を挙げることができる。家族や友人の趣味を試すのもよいだろう。

肝心なのは新しいことに挑戦しようとする気概だ。趣味に打ち込むことができれば徐々に自信も身につき、ポジティブな方向に変わることができる。悩みがある時は趣味を作り、積もりに積もったストレスを一気に発散してはいかがだろうか。

精神的な症状は内服薬で改善可能

鬱病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)は専門の医療機関で処方された内服薬を服用することによって、ゆっくりと寛解できる。脳機能を向上・覚醒させる内服薬が「働くのが怖い」と考える原因を取り払ってくれるのが利点だ。精神疾患で悩んでいる方は医療機関の問診・カウンセリングを検討してほしい。

ただし、場面緘黙症は内服薬だけでは解決できない可能性が高い。対人経験がトラウマの克服に必要なため、医療機関だけでなく家族や知人に協力してもらうのも手だ。

働くのが怖い大人が仕事・社会などに抱くトラウマを克服するには?

働くのが怖い大人が仕事・社会などに抱くトラウマを克服するには?

就職に不安を抱く人物は未成年が大半を占めるが、悩みを持っているのが大人の場合、さらに問題は深刻化する。長年培ってきた「働くのが怖い」という感情や、それに付随するトラウマを寛解するには途方もない時間がかかると推測されるからだ。20代後半からは「今更トラウマを克服するなんて不可能ではないか」と諦観を抱く人物が増加するとも予想できる。しかし先の項目で解説した手段が完全に無意味になるわけではないため、トラウマには本人が向き合っていくしかない。

昨今は対人との交流が苦手な方に在宅ワークが推奨されるなど、働くのが怖い方でも実施できる仕事が増えている。そういった職種を経由して少しずつ社会復帰するのが最善の方法だと言えるのではないだろうか。

「働くのが怖い」と悩んでいる人物のトラウマは早期解決が難しい

「働くのが怖い」と悩んでいる人物のトラウマは早期解決が難しい

働くのが怖いと感じてしまう原因は人によって大きく異なる。一見すぐに解決できそうな問題でも、入り組んだ事情があってトラウマの解消に長期間を費やすことは珍しくないのだ。胸の奥に抱えている不安や恐怖と向き合って打ち克つのは困難である。しかし、問題解決に慎重に取り組んでいれば、トラウマを徐々に払拭することが可能になるだろう。

就活に焦る必要はない。もちろん、トラウマを払拭しようともせずに日々を怠惰に過ごすのは問題だが、早く働きたいと考えるあまり不安が悪化すれば本末転倒だ。自分のペースでトラウマを払拭すること、それを忘れないようにしていただければ幸いである。