大学進学を視野に入れる方の中には、受験案内の雑誌やインターネット上の情報を閲覧する際に『Fラン』という単語を見たことのある人物が多いのではないだろうか。Fランとは、特定の条件を満たした一部の大学をまとめて呼称する際に使われる言葉である。近年は数ある大学からFラン大学に進学する学生の姿も珍しくない。しかし、そもそもFランとはどういう意味合いの言葉なのだろうか? 詳しく意味を知りたい方に向けて、本記事ではFラン大学の定義や3つのメリットをわかりやすく取り上げている。具体的な定義や由来だけでなく、現在の日本各地に点在するFラン大学の一覧も言及するため、Fラン大学に興味のある方はぜひ以降の項目で解説する内容を参考にしていただければ幸いだ。
Fラン大学の意味は?そもそも具体的な定義や由来はあるの?
- Fランの意味
- 単語の由来について
- 現在のFラン大学一覧
この項目は上記の内容に言及する。一部大学がFランと呼称されている事実に対して「どうして特定の大学だけFランと呼称されているのか?」「そもそもFランという言葉は何を由来にしているのか」と疑問を抱く方にわかりやすく解説した上で、現在Fランとして考えられている大学も取り上げていく。まずはじめに、一部の大学がFランと呼ばれる理由を探っていこう。
Fランは低偏差値大を呼称する用語
Fランとは、簡潔に言えば低偏差値大学を示す単語である。偏差値が35以下の大学をまとめて示す際の呼称で、時には受験者数不足で定員割れした大学もFランに含まれることがあるようだ。とはいえ、基本的には「Fランは偏差値35以下の大学」という認識で問題ない。インターネット上では偏差値60以上の難関大学をFランと呼称する声も見られるが、それは大きな誤解である。前述したようにFランには明確な定義があるので、意味を誤認識しないように注意していただければ幸いだ。
発祥は大学別難易度ランキング
Fランの意味を知って、匿名掲示板発祥のインターネットスラングだと考える方は多いかもしれない。実際、掲示板やSNS上で低偏差値大学であるFランを揶揄する声は少なくないため、そう思うのも無理はないはずだ。しかし本来は匿名の個人が発した単語ではなく、予備校大手として知られる河合塾が最初にFランという単語を使用している。
大学別難易度ランキングを作成するにあたって、合否判定不能な大学を河合塾が「Border Free(低偏差値で難易度を算出不能な大学)」と呼称・分類したことが始まりだったのだ。多くの人々に分類の名称が伝わっていくにつれ、BFから現在のFランという名称に切り替わったと考えられている。よって『Aラン』『Bラン』『Cラン』などの区分は存在しないことを留意してほしい。
Fラン大学のFはボーダーフリーのF?
先の項目でも言及したように、Fランの「F」とは「Border Free(低偏差値で難易度を算出不能な大学)」の「Free」の頭文字を取ったのが由来である。低偏差値または定員割れという特徴を持っているため、誰でも入れる=入学は自由、つまりフリーという意味で使われているようだ。ただ、近年はボーダーフリーのFとして認識していない人物も少なくない。特に「FランのFはアルファベットのABCよりも下、つまり一般の大学に比べて遥かに劣っている大学だ」と誤解している者の多くはFランの「F」を下に見ている。もちろん、単に他大学に劣っているからという理由だけでFランと呼称されているわけではないため、誤解のないように注意してほしい。
現在のFラン大学一覧
定員割れする大学をFランに含むケースもあるが、この項目では偏差値35を下回る大学のみ一覧に取り上げる。まず最初に、2023年度のFラン大学は以下の通りだ。
- 工学部系
- ものつくり大学技能工芸学部
湘南工科大学工学部
神奈川工科大学創造工学部
西日本工業大学工学部
東北文化学園大学工学部
北海道科学大学工学部
久留米工業大学工学部
埼玉工業大学工学部
第一工科大学工学部 - 語学・教育学部系
- 大阪樟蔭女子大学学芸学部
梅光学院大学文学部
北海道文教大学国際学部
吉備国際大学外国語学部 - 文学・人文学系
- 愛国学園大学人間文化学部
浦和大学こども学部
花園大学社会福祉学部
関西福祉科学大学心理科学部
岐阜女子大学文化創造学部
宮城学院女子大学学芸学部
京都ノートルダム女子大学現代人間学部
共栄大学教育学部
弘前学院大学文学部
高野山大学文学部
札幌国際大学人文学部
四国学院大学社会学部
四国学院大学文学部
四国大学文学部
種智院大学人文学部
常磐会学園大学国際こども教育学部
身延山大学仏教学部
盛岡大学文学部
西南女学院大学人文学部
川崎医療福祉大学医療福祉学部
太成学院大学人間学部
大阪樟蔭女子大学学芸学部
筑紫女学園大学人間科学部
東京純心大学現代文化学部
東京未来大学こども心理学部
文京学院大学人間学部
花園大学文学部
関西国際大学国際コミュニケーション学部
吉備国際大学心理学部
岡山理科大学教育学部
芦屋大学臨床教育学部
宇都宮共和大学子ども生活学部
岡崎女子大学子ども教育学部
岐阜女子大学文化創造学部
聖泉大学人間学部
東亜大学人間科学部
松蔭大学コミュニケーション文化学部 - 法学部系
- 青森中央学院大学経営法学部
富士大学経済学部 - 国際学部・社会学部系
- 浦和大学社会学部
花園大学社会福祉学部
関西国際大学教育学部
関西国際大学国際コミュニケーション学部
京都文教大学総合社会学部
九州看護福祉大学看護福祉学部
九州国際大学現代ビジネス学部
種智院大学人文学部
城西国際大学福祉総合学部
神戸医療未来大学人間社会学部
聖カタリナ大学人間健康福祉学部
西南女学院大学保健福祉学部
大阪観光大学観光学部
中部学院大学人間福祉学部
田園調布学園大学人間福祉学部
東海学院大学健康福祉学部
徳山大学福祉情報学部
奈良大学社会学部
富山国際大学現代社会学部
福岡女学院大学人文学部
福島学院大学福祉学部
明海大学ホスピタリティ・ツーリズム学部
静岡英和学院大学人間社会学部
宇部フロンティア大学心理学部
札幌大谷大学社会学部
東亜大学人間科学部
北星学園大学社会福祉学部
松蔭大学観光メディア文化学部 - 経済学部・経営学部・商学部系
- 関西国際大学経営学部
九州共立大学経済学部
札幌国際大学観光学部
星城大学経営学部
石巻専修大学経営学部
筑波学院大学経営情報学部
中京学院大学経営学部
日本経済大学経営学部(東京)
日本経済大学経営学部(福岡)
日本経済大学経済学部(神戸)
日本経済大学経済学部(福岡)
富士大学経済学部
名古屋産業大学現代ビジネス学部
松蔭大学経営文化学部
吉備国際大学社会科学部
芦屋大学経営教育学部
上記一覧は大学偏差値.bizなど、大学偏差値に関連した情報サイトを参考に、偏差値35以下の大学を文系中心に取り上げたものである。調査した結果、全国各地に点在する大学の中にはFランに該当する学部(医学・理学部系を除く)があることが判明した。2024年度以降に変動する可能性はあるが、このようにFラン大学は複数存在している。
Fラン大学に通う意味は?主なメリット・必要性を理解しよう
先の項目によって、日本全国に点在しているFラン大学の数はおおよそ把握していただけたのではないだろうか。各校の偏差値は毎年変動するため、必ずしも前述した大学がFランに含まれるというわけではない。そのことを再度理解していただいた上で、引き続きFラン大学に通う意味を紹介する。
就職率が高い傾向にある
Fラン大学に対して「卒業しても就職できない」という偏見を抱いている方は決して少なくはないだろう。確かに、近年は大手企業が書類選考時にいわゆる『学歴フィルター』をかけたことが話題になるなど、就活と学歴は切っても切り離せない関係に思える。しかし、実際はFラン大学生の就職率が高い傾向にあることをご存知だろうか。2013年5月に発行された『大阪経大論集(大学の偏差値と退学率・就職率に関する予備的分析)』やFランに該当する各大学の統計によれば、偏差値40未満の大学でも就職率は60パーセント前後を保っている。卒業者の半数は就職できる計算だ。また、卒業直後は就職先が決まっておらず、数ヶ月後に社会人になるケースも珍しくない。Fランだから就職できないという声は虚偽だと考えるべきである。
卒業して大卒の肩書を入手可能
Fラン大学に通う学生は、基本的に「大卒の肩書を得るために入学した」と考える人物が多い傾向にある。この件に関しては、その他の大学に通う学生にも同じことが言えるだろう。異なるのは入学から卒業までの難易度ではないだろうか。もちろん大学生活ではある程度の計画性が求められるため、誰でも簡単に卒業できるというわけではない。しかし、各地の難関大学に比べれば単位修得の難易度は低めに抑えられている。大卒になるため敢えてFランを選択したり、時には仮面浪人として入学する学生も少なくはないようだ。
公的試験の受験資格を得られる
大卒の肩書を手に入れられるという事実は、つまり公的試験の受験資格を得られると考えることも可能だ。代表的な公的試験としては、主に教員免許状や司書教諭など、大学で教職課程・学校図書館司書教諭講習を受講する前提の試験が挙げられる。Fラン大学でも前述した教職課程や学校図書館司書教諭講習を受講できるケースは少なくないため、将来教職員を目指している場合はFラン大学の各学部でできることを探してみてはいかがだろうか。公的試験の受験資格を得た後は、今後の未来に向けて自分の前に広がっている無数の選択肢を少しずつ模索してみよう。
Fラン大学を「無駄」「無意味」だと考えている方に向けて
Fラン大学の由来や意味について、本記事をお読みいただいた方には充分理解していただけたのではないだろうか。今回ご紹介した内容をあらためて下記に掲載する。
- 就職率が高い傾向にある
- 卒業して大卒の肩書を入手可能
- 公的試験の受験資格を得られる
Fラン大学へ進学する選択肢を取ろうとした時、周囲の「Fランに入学するのは無駄・無意味」という声に躊躇う方は少なくないかもしれない。しかしFランには複数の利点がある。高偏差値の大学を受けるより入学の難易度が低いのはもちろん、卒業すれば大卒の資格を取得できるのは変わらない。また、在学中に資格勉強に取り組みやすいのもメリットだ。既に就職を検討する業界が決まっており、卒業後に向けて堅実に計画を立てている方には非常に魅力的な大学なのではないだろうか。結局のところ、Fランに限らず、どの大学でも学生のやるべきことは変わらないのだ。時間を有効的に使いたいと考えているのであれば、Fラン大学に進学する選択肢も視野に入れてみてはいかがだろうか。