Fランとは、偏差値35以下の大学を指す単語である。元は河合塾の大学入試難易度ランキング(2000年)で使われた「ボーダーフリー」という言葉が変化したもので、低偏差値を揶揄する単語として、近年は主にインターネット上で広まっているようだ。しかし、Fラン大学が低偏差値だからといって大学で働く教授の程度を低いレベルだと誤ってはならない。実際のところ、Fラン大学で働く講師陣の中には高学歴かつ優秀な人材も少なくないのだ。本記事では、Fランの教授に対する偏見の目を取り除くために「Fラン大学の教授が高学歴のエリートという話は正しいの?」「教員の学歴をどう判別しているの?」といった疑問についてわかりやすく解説する。教員の実情を知りたい方はぜひ後述する内容を参考にしてほしい。
Fラン大学の教授は優秀で高学歴?講師陣のレベルはどの程度?
Fランの教授は本当に高学歴で、優秀な人材なのだろうか。Fラン大学に進学する選択肢を視野に入れている場合、この疑問は特に気になる内容のはずだ。しかしインターネット上でFランを揶揄する声の多さに、講師陣を懐疑的に見ている者は少なくないのではないだろうか。はたして講師陣のレベルはどの程度なのか、以下の項目ではFラン大学で働く人材の区分や教授の学歴を解説する。
Fラン大学で働く人材について
Fラン大学で働く人材の区分に関しては「教員・職員」の2種類に分けられる。職員は来客対応・電話対応や書類の作成を担当する事務員で、教員は講義を担当する教授のことだ。本記事で紹介するのは、当然学生に向けて講義を実施する教授のほうである。本記事では職員について言及しないため、あらかじめご了承いただければ幸いだ。さて、教授は講義を実施していない時間帯も学生の質問に答えたり、学生と共同して研究をおこなうなど、様々な業務を抱えている。生徒に学問を教える立場を持っている以上、一定の学力はあるはずだ。しかし難関大学はともかく、Fランの教授が高学歴というのは有り得る話なのだろうか。疑問に思う方のために、次の項目ではわかりやすく解説していく。
Fランの教授は高学歴?
Fランの教授は全員が高学歴というわけではない。しかし教員として就職するには博士号が必須級で、一定の学力が証明されていることは確かだ。それ以前に、高学歴の定義がどの程度かにもよる。インターネット上で「自分の通うFラン大学の教授が高学歴だった」と驚きの声が見られるように、研究に打ち込める環境を求めてFランに教授として就職したり、なんでもいいので大学教員として働きたい、と考える人材が就職するケースが多いようだ。安定した職に就きたいという目的だけでなく、自分の探究心のために大学教員になる道を選んだ人材が教授として働く傾向にある。とはいえ、Fランの教授の学歴だけで人柄や能力を判断するのは危険だ。高学歴だからといって本人の能力が優秀なわけではないし、中には生徒に授業内容を教える能力が欠けている人材も居るだろう。反対に、難関大学を卒業したような学歴を持っていない教授が「講義が面白かった」「とても興味深い内容で新たな知見を得ることができた」と好意的な意見を寄せられるケースも少なくないのではないだろうか。Fランに限らず、どの大学も教授の当たり外れはある。学歴のみに目を向けないよう気をつけてほしい。
難関大出身のエリートも
Fラン大学で働く教授の中には難関大出身のエリートも居る。東京大学や京都大学の卒業生はそのまま出世街道に乗るイメージが強いが、卒業後に大手企業などには就職せず、Fラン大学に入って自分のペースで研究に打ち込みたいと考える者も少なくはないようだ。また、私立のFラン大学は給料面が好条件であるケースが多く、より収入を得るために就職する場合があったり、中には国公立大を定年退官後に教授として就職するケースもある。Fラン大学は難関大学より設備面はやや劣っているものの、やはり「教授の立場を得て好きに研究できる可能性が高い」という点が強いのではないだろうか。
ところで、読み進める途中で大学教授の学歴を知る方法について気になった方も居るはずだ。最初に「教員の学歴をどう判別しているの?」という疑問に触れたように、以下の項目では大学教授の学歴を知る手段を紹介している。簡単な方法なので、少しでも興味のある方はぜひ試していただければ幸いだ。
大学教授の学歴を知りたい時はホームページのチェックが必須
大学教授の学歴を知りたい場合、インターネットを活用するべきである。Fラン大学のホームページにアクセス後、講師陣の紹介ページをチェックしてほしい。どの大学も必ず講師陣の名前は記載されているため、紹介ページに学歴が書かれていない場合でも名前を検索することで関連情報を探ることが可能だ。特に年配の教授は書籍を出版しているケースが多く、著者紹介で学歴を確認できる。インターネット環境があれば容易に教授の学歴をチェックできるため、興味のある方はぜひ、検索エンジンを活用して気になるFラン大学の情報を調べてみてはいかがだろうか。
Fラン大学の教授は学生にやさしい?単位修得は難しいの?
Fラン大学で働く教授の中には、高学歴かつ優秀な能力を持ったエリートも居る。そもそも教授として席を置いている時点で一定の学力は証明されており、Fランだからといって侮れる人材でないのは明白だ。ここまでの話を理解した人には、別の疑問を抱いた人物も居るのではないだろうか。例えば、Fラン大学の教授が実施する講義で単位を手に入れる難易度、特定の教授が担当する卒論の難易度など「入学は容易でも卒業のハードルが高いのでは?」と不安になっている者は少なくないかもしれない。以降の項目では、Fラン大学を卒業する難易度はもちろん、卒業後の就活対策についてもザックリ触れていく。最後までお読みいただければ幸いである。
単位・卒論の難易度
Fラン大学の単位・卒論に合格する難易度はどの程度だろうか。Fランは試験のハードルが低く、比較的単位を修得しやすいイメージを持たれている。しかし実際のところ、複数の教授が見る可能性のある卒論はともかく、単位に関しては各教授の授業の進め方・採点の仕方によって難易度が大きく変わるものだ。例えば授業に複数回出席することで単位が取れる「楽単」を定期的に実施する教授も居れば、採点に厳しく、単位を取りこぼす生徒が多い授業を担当する教授も居る。単位習得の難易度は大学の偏差値によるものというより、大学教授の性格によって変化するものだと言えるのではないだろうか。また、卒論に関しては選択した学科によって必要がない場合もあるため、Fランの単位・卒論の難易度はケースバイケースだと考えられる。より詳細な話を知りたい時は、実際に大学に通った経験を持っている卒業生を頼るべきだ。
やる気さえあればFランは誰でも卒業できる大学なのか?
Fランに限らず、どの大学も本人の能力が相応に伴っていれば卒業できる。難関大学の場合は単位を取りこぼしたり、院進する選択肢を取ることで大学に留まる人物も少なくないが、大抵の人物は留年・退学をすることなくストレートに卒業するはずだ。基本的に、大学は1年間に最大40単位を取得できるシステムである。卒業の目安は128単位前後で、計画的に進めることでつまずくことなく卒業可能だ。やる気があれば卒業できる点は真実である。とはいえ、やる気がすべて空回りした結果単位を逃してしまう学生も少なくない。事前に試験範囲を在学生に聞いたり、教授の講義内容を繰り返し復習して単位を確実に取れるように努力すべきだ。
Fラン出身でも教授推薦・学校推薦で就活は有利になる?
大学卒業後に向けて就職活動を進めるあいだ、教授推薦・学校推薦という単語を耳にしたことはないだろうか。推薦自体は中学校や高校で活用した経験のある人物も少なくない。しかし、前述したシステムは進学を目的とした推薦ではなく就職支援の一環である。学生が無事就職できるようにサポートすることで、大学側は就職率という実績を手に入れられるのだ。推薦が上手くいけば学生・大学の双方が好都合になるため、一見デメリットはないように思える。懸念事項はFランの知名度だけだ。最初に言及したように、Fランは低偏差値大学の総称である。世間的にはややマイナスイメージを持たれている大学群のため「就活が上手くいかなかったらどうしよう」と不安を抱いている者も少なからず居るのではないだろうか。しかし、推薦を受ける学生は総じて優秀だ。教授や大学の推薦を受けるほど優秀な人材である、というアピールを就活に活かすことができるため、Fランというディスアドバンテージを容易に打ち消せる。もちろん、推薦は確実に就職できることを保証するシステムではない。推薦を受ける条件を満たしたからといって慢心せず、就職できなかった場合に備えて希望する業界・企業の特徴を調べておくことが大切だ。
Fラン大学で働く教授は難関大出身の高学歴エリートもいる
本記事をお読みいただいた方は「Fラン大学で働く教授の中には難関大出身の高学歴エリートもいる」という事実について、充分に理解したのではないだろうか。先の項目でも言及したように、Fランだからといって大学で働く教授を下に見たり、学生を揶揄するのは間違いだ。低偏差値という特徴こそあれど、Fラン大学が教育機関である事実は疑いようがなく、生徒が大学教育を受けられる貴重な場である。大学によっては優秀な人材が教授として働いているため、講義で躓いた時は講師陣の意見を求めたり、大学教員になりたい場合は先達に経験を訊ねるのも手だ。Fランに限らず、重要なことはすべて大学で得た能力・知識を活かす方法にある。今後Fラン大学に入学したいと考えている人物は、進学の前にぜひ卒業後のビジョン(自分像)について考えてみてはいかがだろうか。