
大学生の就活事情を語る時、必ず言及されるのが学部による違いだ。日本では医学部や工学部が引く手数多と考えられる一方で「文系は就職できない」という説が強く、文系大学生を下に見るような声が散見される。
理系と比べると、文系は就職に不利だと言われやすい。しかし、就職活動における優劣を決めつけられていることに納得いかない方は多いのではないだろうか。そこで、本記事は文系のなかでも経済学部に所属する学生の就活事情に注目した。この記事は、下記の項目について解説するものである。
- 文系が就職できない理由について
- 経済学部生に適した職業
- 経済学部生の就活対策
まずは、文系が理系よりも就職できないと考えられやすい理由に触れてみよう。
経済学部生は就職できない?文系が就活で不利だと言われる3つの理由

以下の項目では、経済学部(文系)が就職で不利となる原因として『専門的な技術(仕事に直結するスキル)を身につける機会の少なさ』『自己分析や業界研究の必要性』『職業適性』をわかりやすく解説する。
専門的な技術(仕事に直結するスキル)を身につける機会の少なさ
理系と文系を比較した場合、もっとも目立つのが専門的な技術(仕事に直結するスキル)を身につける機会の少なさである。理系は教授に与えられた課題をこなすため専門性の高い実験・研究をおこなう機会に恵まれやすく、実践的なスキルが自然と身につきやすい。反対に、文系は資料に目を通す時間が長く、どうしても差が生じてしまう。
とはいえ一般社団法人『日本経済団体連合会』が定期的に実施する高等教育に関するアンケートによれば、企業が学生に求める能力は実行力と主体性、課題設定・解決能力が上位を占めており、文系・理系にこだわらない企業が大半のようだ。仕事に直結する技術を身につけていなくとも、前述した能力が優れていれば就職活動に成功しやすくなる。行動力を持つことが大切ではないだろうか。
就活時におこなうべき自己分析や業界研究を怠ってしまっている

就職活動には自己分析・業界研究が必須だ。
自分の能力を理解した後、興味を持っている、あるいは志望する業界について知識を深め、業界のイメージや実情を確認するのが作業の目的である。自己分析・業界研究は適職を探すためには必要不可欠のため、自分に不向きの企業にばかり応募して「何度面接に赴いても落とされてしまう」ような事態が起こる可能性は高い。負の連鎖を起こさないためには、自分の持つ能力の把握と世の中の企業に関する知識が必要なのである。
自己分析・業界研究の方法がわからない場合は就職エージェントを頼るのも手だ。
職業には向き不向きがある
職業には向き不向きがある。たとえば弁護士などの専門職は法学部生であっても就職が容易ではない職種だ。つまり、自分の適性に合った職業を見つけることこそが就職活動の成功に直結するのではないだろうか。経済学部生の適職に関しては次の項目で解説しているため、ぜひ参考にしていただきたい。
就職できない経済学部生に適した職業は見つかるのか?

経済学部生に対して、文系だからと就職できない旨を話す者は少なからず存在するが、適職であれば就活が成功する可能性は一気に高まるはずだ。経済学部生に適性のある職業としては、ザッと五種類は挙げられる。
商品企画・マーケティングや経営コンサルタント、セールス営業、会計・経理、そして国家公務員だ。この項目ではそれぞれの職種について大まかに紹介させていただく。
商品企画・マーケティング
自社の販売施策に合致した商品を作り、製品シェアを拡大させる役割を持つのが商品企画・マーケティング職だ。
市場のニーズを考慮しなければならず、企業や消費者に関する知識を身につける必要があるため高難易度に思われやすい職だが、経済学部生には向いている。経済学部生が身につけている、ある資源(お金や人など)が経済的活動を広げる仕組みに関する学問が役立つためだ。経済学部では社会全体の動きについて知識を得られるため、市場ニーズの把握は比較的容易である。商品企画にはクリエイティブな発想力を求められる機会が多いものの、マーケティング職には非常に向いていると言えるのではないだろうか。
経営コンサルタント

商品企画・マーケティング職と同様、経済学部生は経営コンサルタントも向いている。
経営コンサルタントは顧客が抱いている悩みや課題の解決・改善に向けてアドバイスをおこなう仕事だ。企業と一蓮托生になって営業戦略やIT戦略を担ったり、バックオフィス業務に特化したサポートをおこなうコンサルなど、業務内容が幅広いことが特徴だと言われている。クライアント事業の成功が経営コンサルタントの目的になるため、人の役に立ちたい、または縁の下の力持ちとして活躍したい人物に適した職種だ。
セールス営業
新規顧客の獲得はもちろん、取引先に自社商品やサービスを売り込むのがセールス営業の役割だ。求められるスキルはコミュニケーション能力に特化しており、専門的な技術を身につける必要が少ないのがポイントである。
どの業界でも活躍できる職種のため、経済学部生に限らず万人向けの仕事と言えるだろう。セールス営業の経験後に転職する機会が訪れた場合も、身につけたコミュニケーション能力が役立つ。人付き合いに自信のある者は営業職を目指すことが最善である。
会計・経理
帳簿付けや税務申告など、会計・経理は企業の財務に関わる仕事だ。求められるのは数字の強さであり、スピーディーかつ正確に金銭管理ができる人材が求められている。経済学部ではお金の動きを数理的に分析する学問が教えられるため、会計・経理との相性は抜群だと考えても良いのではないだろうか。
もっとも、単純計算が苦手だったり、普段の生活ではケアレスミスが多い人物にとって会計・経理は不向きな職業と言えるだろう。
地方公務員・国家公務員
専門的な知識より基礎的な学力が求められる職業としては、公務員が有名だ。
高卒程度の学力が求められる公務員試験を受けて合格すれば、地方公務員・国家公務員として就職する道が拓ける。基礎的な学力を持っており、簡単な受け答えができる人物であれば公務員として働く選択肢も視野に入れるべきだ。詳しくは人事院が運営する公務員試験情報サイト『国家公務員試験採用NAVI』などを参考にしてほしい。
就職できない悩みを抱える経済学部生の就活対策について

就職できない悩みを抱える経済学部生にとって、企業に自分の能力をアピールできる資格は大いに役立つ。しかし、どのような資格を取得すればよいのかと悩む学生も多いのではないだろうか。以下の項目では就職活動の際に活躍する資格について取り上げる。
企業面接では英語力をアピールしよう
外資系企業や貿易会社に就職したい場合、英語を筆頭に外国語を話せる能力をアピールするのが無難だ。また、語学能力のわかりやすい指標として『TOEIC(国際コミュニケーション英語能力テスト)』が挙げられる。
TOEICはスコア形式で英語の読解力や思考力を把握できるため企業の認知度が高く、グローバル人材が求められる社会において非常に役立つ資格だ。海外取引の多い企業では最低でも800点以上のスコアが必要だと考えられており、英検の準1級に匹敵するTOEIC900点があれば自分の強みとしてアピールできる。外国語の資格に関しては他にも『イタリア語検定PLIDA』や『フランス語能力認定試験(TEF)』など様々な種類があるため、しっかりと業界分析を終えた上で面接に挑んでみてはいかがだろうか。
就活は資格があれば有利なのか
先の項目で紹介したTOEICの他にも資格があれば、就職活動はより有利になる。日商簿記検定やファイナンシャルプランナー(FP)など、汎用性のある資格を取得するべきだ。
ただし、資格があれば無条件で好印象を得られると誤解して「自分が取得できそうな資格をすべて身につけてしまう」ようなことをしてはならない。無条件で好印象を得られる、というのは全くの誤解だからだ。あれこれと資格を身につけたからといって、面接官の誰もが行為的に見てくれるわけではない。むしろ、資格をトロフィーのように扱う人物は悪印象を与える可能性すらある。
資格は直接仕事と結びつかない存在だ。資格を手に入れた者が努力してはじめて役立つのであり、見せびらかすだけでは意味がない。資格はあくまで「企業にとって有用な人材である」ことを証明する材料なのだ。就職活動は資格さえあれば有利に進められるものではないため、あらためて注意が必要である。
経済学部生が就職できない場合は真っ先に原因を究明すべき

本記事の要点が下記に記載してあるため、あらためて内容を確認していただきたい。
- 文系が「就職できない」と考えられやすいのは専門的な技術を身につける機会の少なさが原因である
- 自己分析や業界研究を怠った場合「就職できる企業」は「就職できない企業」になってしまう
- 経済学部生に向いた職種は複数ある
- 資格はトロフィーではなく各企業が求める人材であることをアピールするために必要なものである
経済学部など、文系の学部を選んだ学生に「就職できなくなるのではないか」と不安を煽る者は多いが、前提として大学教育は仕事のために設置されているわけではない。学問とは本来、自分の興味分野に関する知識を身につけるためにある。仕事に応用できる学問は多いものの、大切なのは学部より本人の資質だ。
プロイセン出身の哲学者として知られるニーチェは次のような言葉を残している。
なかなか就職できない場合は経済学部出身という点に目を向けるのではなく、それ以外の原因を究明すべきではないだろうか。






